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2014年08月
2014年08月22日

露人の本音とプーちゃんの凄さ 

昨年末から始まったウクライナ危機。
キエフのマイダンで始まった平和的なデモから
今の状況なんて誰も想像していなかった筈。
まさに誰もが一番行って欲しくない方向へ、まんまと行ってしまった現状。
在モスの友達(邦人/ロシア人)とも、それぞれの段階において色んな話をしている。
報道の仕方の疑問や、モスクワでの生活への影響、ロシアと日本の関係等。
ウクライナ問題から考えさせられる話題は多岐に渡る。

そんな中で“どうも肌感覚と合わない”という話を、つい先日も友達と話した。
それは、「ロシアの世論調査の数字」の話。
こういうご時世なので
「ロシア人ってどう思ってるの?」と思う在露の外人は多いと思う。
世論調査の数字は、そんな外人の疑問にも答えてくれる貴重なデータ。
。。。の、はず。

だけど、その数字がいちいち「え?ホントに?!」と。
モスクワに住み、ロシア人と日々接している“肌感覚”との乖離が激しいのだ。
最初は私だけなのかと思ってたけど、色んな人とこの話をしていくうちに
そう感じている人は結構多いような気がしている。

例えば、プーちゃんの支持率。
クリミアの併合でグッと上がった。
その後も、マレーシア航空機が撃墜されたり色々あったけど、支持率は高いママ。
欧米への食品禁輸制裁は、(特に)欧州から輸入していた分の別途調達に失敗すれば
自国民を苦しめる制裁になりかねないのに、それでも世論調査の支持率は高く、
というか、むしろ上昇して87%!
私の周りでは、クリミアは世論調査の数字のように手放しで喜べるほど単純じゃないし
今回の制裁も、状況に関しては楽観的な見方も多いのは確かだけど
それが8割以上の人が“支持”と言える程歓迎されているのかも疑わしい。

一つの可能性として、と前置きをしながら、
ロシア人の友達はこんな事を教えてくれた事がある。
「世論調査には政府に対して否定的な答えをしない人が、一定数いると思う。」
なるほど。これはロシア的な理由だ。
この友達は“可能性”として話してくれた訳だけど
それを裏付けるようなデータが出ていた。

『3人に一人のロシア人が世論調査で批判的な意見を表すのを恐れている』
One in 3 Russians Afraid to Show Criticism in Opinion Poll(The Moscow TImes)

記事によると==========

28%の人が、政府に批判的な意見を調査機関に答えると
たぶん/絶対に国から罰(嫌がらせ)を受けると思っている。

一方で61%の人がそんな事(国からの罰)は“おそらくない”、“不可能”と。
11%の人は答えなかった。

また6%の人が政府について自由に話す事は出来ないと考えていて
28%の人が“ある制限の下”に“人を選んで”なら話す事が出来ると考えている。

================

やっぱりいるんだね。。。世論調査にホントの事を言えない人たち。。。^^;

さらに私の“肌感覚”と違う原因として、別の友達は
「それは、りりがモスクワッ子だからだよ。」と。
うん。それは確かにあるよね。
地方と都市では経済力が違ってて、
経済力がある方が外の情報に触れる機会をより多く得る事が出来る。
情報が多ければ、色んな考えな人が出てくるのが自然。
それにモスクワで、
『Россия без Путина(プーチンなきロシアを)!』なんて
でっかいデモ集会やってたのは、ほんの昨年の話だ。
その人達が全員「プーたん、バンザーイ(∩´∀`)∩♪」とか。。。
いくらなんでもなる筈ない。。。よね。。。?^^;;;;;

例えば上記の調査はレバダ・センターという所で出しているものだが
ロシア46地方の1600人に対して行われた調査だそう。
モスクワでどんなに声をあげても、モスクワは46分の1の地方でしかない。
レバダ・センターが
人口比に従ってサンプル数をはじき出してるのかどうかはわからないけど
いずれにしてもモスクワやサンクト・ベテルブルクのような大都市の声は
その他大多数の大都市以外の人の声の中に埋もれてしまう。

それが“ロシアの平均”になり、さらにその中には前述のような
“本当に思っている事を声にする事を恐れる人たち”もいる、とういこと。

調査の数値をまるっと信じた前提で物を語るのは
ちょっとナイーブ過ぎるかもね。

ただし。。。
プーちゃんを全面的に支持している訳ではないけど、という大前提の下にだけど、
あの人には、やはり、人を惹き付ける魅力と、
政治家としての器があると思わざるを得ない。
それは、今回のこの行動でもそう。

広島土砂災害 ロシア大統領が哀悼の意(NHK)

プーちゃんがアベちゃんに電報を送ったそうだ。
日本がロシアへの経済制裁を課し、
ロシアは北方領土での軍事演習をしている最中でも
こういうことに対してプーちゃんの対応は、いつも早く、心を打つ。
東日本大震災の時も、いち早く反応したのは記憶に新しい。

また、今回の土砂災害には警戒区域指定の遅れも
被害拡大に繋がったのではないかと問題視されているが
なんと指定されるまでに2年もかかるとか。
住民への説明や、指定された土地の価格が下落する事への懸念も
指定に踏み切れない“事情”なのだとか。
土砂災害警戒区域 低い指定率(Yomiuri Online)

そもそも命の問題と「説明」や「土地の価格」が
同じ土俵で語られることに違和感を感じるんだが。。。(ーー;)
こういう時に、ロシアだったら、プーちゃんだったらどうするかというと、
危険な土地だとわかった瞬間

「明日からここら辺、危険指定な。( ̄ー ̄)」

で、終わりだ。

もちろん、この鶴の一声トップダウン形式で
私たちの生活も振り回される事は沢山ある。
でも、決める時は決める。
批判されようが、悪者になろうが、やんなきゃいけないことは、やる。
やんなくても良い事もやるけどぬ。。。^^;

こんな強さが、ロシア人達の支持を得ている要因の一つであることは確かだ。

世論調査の数字に驚いたり、眉に唾つけたりしながらも
やっぱプーちゃん、すげーな。
毒にも薬にもならないような政治家よりは、
プーちゃんみたいな奴の方が、よっぽど世の中を動かす力があるよな。

日本のニュースとロシアのニュースを眺めながら
そんな事を考える今日この頃です。

それにしても、日本は自然災害が多いね。。。
亡くなられた方達のご冥福と、一日も早い復興を、心からお祈りします。


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2014年08月15日

食品禁輸措置が暴いた“外国ブランド”の実態

依然として食料品の不足は感じられないモスクワ。

モスクワのスーパーが輸入品で溢れているというのは、前回の記事に書いた通り。
これは、もちろん国内で不足している食品を補っているというのもあるけど
“輸入品の方が売れる”という側面もある。

私のような外人が、ロシア製品より輸入品を好むというのは
何となく理解してもらえると思うが、
実は、ロシア人のロシア製品に対する信頼度も低い。

国内産のお茶と海外ブランドのお茶が売ってて、
値段の差が経済状況の許容範囲内だったら、海外ブランドの物を買う人が多い。
そんなロシア人の心理を利用して作られたブランドの実態が
食品禁輸措置の施行により明らかになってきた事を
地元フリーペーパーのThe Moscow Timesが伝えている。

それらの“海外ブランド”は、どんなに輸入が厳しく禁止されても
ロシアのスーパーからなくなることはないかもしれないwww


例えば「Laimon」という清涼飲料水。

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3年前から売り出されているらしいが、ロシアでトップ5に入る人気なのだとか。
1993年に設立されたスイスのGreem Meという会社のライセンスの元に
ロシアのTver地域で製造されている。。。
。。。が、
スイスにはこのような飲み物はなく、この会社はロシア人によって作られたものw


そして、おそらく沢山のオフィスでも常備されている「Greenfield」。
“イギリスの”お茶ブランド。

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2003年にサンクト・ペテルブルクのお茶製造会社によって登録されている。
ここのウェブサイトは、ご丁寧にco.ukのドメインに作られているが
西ヨーロッパでこのブランドを見かける事はない。
ロシア人により、ロシア人の為に作られた“UKブランド”だ。


Jardin Coffee

Jardin

これもGreenfieldと同じロシアの会社によってスイスで登録されている。
もちろん、スイスでこの商品は売られていないし
そのウェブサイトはロシア語では完璧に見られるけど英語バージョンは機能していない。


「Unagrande Cheese」

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イタリアン・メイドに見える完璧なパッケージングだが
オーチン・ロシアンなブランドのUmalatによって製造されている。
UmalatのCEOによると
「ウォッカ以外の“メイド・イン・ロシア”は、
世界のどこよりもロシアで人気がない」のだとかw

(´-`).。oO(それはロシア人がロシア品質を世界のどこの人よりもわかっているからでぃすねぇ〜)


さて。。。
ここで私が長年疑念を抱いていた“あるブランド”に関しても
自信が確信に近づいてきましたよ、と。。。( ̄ー ̄)ニヤリ

2011年にレポートしたこの記事:

日本最良の品質「武士道」

この、“スイス・メイド”の“日本最良の品質”のインスタント・コーヒーは

ロシア人の、

ロシア人による、

ロシア人の為の、コーシーでぃすねっ!!
(; ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \




Import Ban Exposes Russia's Fake 'European' Food Brands(The Moscow Times)


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2014年08月12日

どうなる?!モスクワの台所。

わーい、海だぁ〜〜〜♪ ‎(((o(*゚▽゚*)o)))

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モスクワを離れて、夏休みに行って来たよ!(´∀`*)

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。。。とか言ってる間に、増々混沌として来ている今日この頃。。。(ーー;;;)


既に沢山報道されてるので、みなさんご存知だと思うが
ウクライナ関連のアレで、ロシアがついに欧米に対抗措置を取った。

『欧米及びノルウェー、オーストラリア、カナダからの食品の輸入禁止』

現状では、ロシアの。。。
というかモスクワやサンクト・ペテルブルクといった大都市の台所は
かなりの量が海外からの輸入品に支えられていて、その割合は4割。
(ロシア全体としては1.5割程)

所謂“高級スーパー”の類いである「アズブカフクサ」等では
その輸入品の割合は4割以上かもしれない。
我が家の近くには、このアズブカしかないので日常の食品の多くはここで仕入れている。

誤解して欲しくないのは、外人にとってこの店は
決して“金持ちだから”行く訳ではなく(もちろんそういう人も居るけど)
多少割高でも“確実にソコソコの品質の物が欲しい”という人の需要もかなり多い。
実際、私の周囲は贅沢ではなく、普通の生活をしている人ばかりだが、
ほぼ全員がアズブカ・ユーザーだ。
もちろん、一方で郊外の大型スーパー(ソコソコ品質が入手可)を利用したりもするが
車での移動がそれほど自由でない当地では、それはやはり毎日の事ではなく
週末に家族で出かけて買い物をするという形が多いだろう。
ただし、我が家の様な大人2人の家庭や、単身の人は
日々ちょくちょくとアズブカの様な所で購入してる人が多いんじゃないだろうか。

さて、今回のロシアの制裁措置は、そんな輸入品を多く扱う高級スーパー等が
最初に影響を受けて来るであろうというのは、想像、というか現実的見通し。

そんな中、既に買い占めをしている人の目撃情報や
フランス系の安売り大型スーパー、アシャーンでの
チーズの棚が空っぽになってる情報を見かけたりしたが
我が家(中心部)周辺のスーパーは、今の所、至って平常。

週明けの昨日、比較的庶民派のスーパー(ペレクレストック)、
高級スーパー(アズブカ)と、その中間のスーパー(セジモイ)を回ってみたが
そのいずれの店でも肉、野菜、果物、
そして一番影響があるだろうとも言われているチーズ類も全く不足の様子はなかった。
もちろん、買い占めている様子の人も見かけなかった。

写真 2写真 3

ベラルースカヤ近辺のアブズカフクサ、チーズ売り場と乳製品売り場。


まぁ、“今の所”ね。

幸い、夏休みの今はモスクワの人口は通常よりもかなり少ない。
もしかしたらそういうのも影響しているのかもしれない。

ただ、これから、ただでさえ生鮮食品の種類が激減する冬に向かって行く当地。
夏が終わるタイミングで、急速に影響が出てくるのかもしれないと思ったりする。
これを機に国内農業を拡大するという話もあるが
農業は1日にして成る訳ではなく、
実際に販売ルートに乗るまでは年単位の話じゃなかろうか。
となれば、この制裁が額面通りに行われるとしたら
食品の種類も量も減り、値も上がる。

極東では既にニシンの需要が高まっているとの事。
一方で、品質への要求は減っている。つまり品質の低下が始まっている。
Рыбаки Дальнего Востока уже ловят первые прибыли от санкций

ノルウェーから輸入していた分が極東に向かった結果な訳だけど
これがどの食品に対しても起こるんじゃないか、とちょっと心配だなぁ。
品質が(さらに)落ちて、値段が(さらに)上がるなんて。。。
モスクワが増々住み難くなる。。。orz

一方、今回の制裁とは無関係なベラルーシ等の隣国を一旦経由して
フード・ロンダリングwさせることにより
今まで通り、欧州等からの品物をベラルーシ産として輸入するという手も。。。^^;


この制裁で輸入が禁止される品目は:

ー肉、肉類(生、冷凍、塩漬け、乾燥含む)
ー魚介類(甲殻類、貝類含む)
ー牛乳、乳製品
ー野菜、果物、ナッツ類
ーソーセージ等
ーチーズ等

禁止項目リスト(露語)

で、リストに上がっていないアルコール類に関しては、こんな記事が。。。w
『プーちゃん政権、EUからのワイン輸入量100万本以上』
Администрация президента ввезла из Евросоюза более 1 млн бутылок вина

ちなみにお菓子類も除外されているので、
もしかしたらプーちゃんはお菓子も好きなのかもしれない。。。( ̄¬ ̄*)w

まぁ、我々一般人に出来る事はないので、これからどうなって行くのか
事態を見守り、対応して行くしかないんだけどね。
間違っても過剰な買いだめなんかしないで、冷静に行きたいな、とは思う。

ロシアでの受け止めは、国内生産拡大への期待や他国からの代替輸入
そして、ソ連時代に培われた品不足への耐性(;゚Д゚)等、
楽観的な見方が比較的多く目につく気がする。
Russia's Food Ban Strikes Its Own Consumers
ロシアの消費者、西側の食品禁輸の痛みを覚悟

それでも、苦しい時代を知らない若い世代も沢山いる訳で、
そういう若人達は、たっぷりと西側文化のシャワーを浴びて育って来た訳で、
ロシア人の約1割が「国を離れたい」という調査も中々興味深い。
One in Nine Russians Want to Leave Their Country
この1割の多くは若い世代で、より良い生活環境や安全、より多くの機会を求めての事とのレポートで
決して今回の制裁を受けてのものではない。

依然としてプーちゃんへの支持率は高いものの、
こういう世代がどう思ってるのか聞いてみたいな。

まぁ、それよりも何よりも、
どうかロシアがまた戦争にならないように、
ウクライナに一刻も早く平和が訪れる様に、
祈るばかり。

スラブ人同士の殺し合いなんて、どこにも幸せをもたらさないよね。(´・ω・`)


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risurisu_journal at 18:40│ブログランキングPermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック ニュース | モスクワを生きる